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★★ヒトスジシマカ

2007・9・21 国分寺市自宅
ガラスの器で飼育したオニボウフラ。
2007・9・21 国分寺市自宅・抜け殻
「鬼ぼうふら」と呼ばれるのがよく分かる
2本の触角の名残  
2005・5・15 国分寺・自宅
うーん!もうお腹いっぱい!  
2005・5・15 渋谷区代々木


    ぼうふら

 なんて?
 汚ならしかって?
 なんば基準に そぎゃんことば決むっと?
 尻っぺたから酸素ば吸うとが おかしかて?

 言いんしゃい なんてでん

 赤ん坊のくせして毛むくじゃら ってでん

 見かけのあか抜けん ってでん
 息継ぎの仕方の策士んごとある ってでん

 なんてでん 言いんしゃい

 とにかく
 わたしゃ 母蚊になっよ
 そうして あんたがたば一刺し二刺しして
 卵ば どっさい産むことにすっ



 いよいよもって 脱ぎまっしょうか
 成させてもらいまっしょうか 母蚊に
 わたしら 水面に浮かんで
 祈りながら蚊になるとです

 あーら あらあら あらやしき
 にーる にるにる にるばーな

 どうか 一刺し 仏さま
 どうか 二刺し
  弥勒さま
 五十六億七千万年後まっでん
 子々孫々の絶えまっせんごと

 あーら あらあら あらやしき
 にーる にるにる にるばーな


     〜〜詩集「虫の葉隠」より〜〜
 


  ヒトスジシマカ

 晩秋のヒトスジシマカ
 ひとりぼっち カ

 プウンプウンなかまの声も
 途絶えてしまいひとりぼっち カ

 おおチンプン 寂しい カ
 おおカンプン 悲しい カ

 さてもさてもヒトスジに
 ヒトの血を吸うてみたい カ

 ちっとばかり さむうて
 針さきあたりの シマらん カ

 さてもさてもヒトスジに
 花の蜜ばかりも吸うてはおれぬ カ

 卵をたんと産むために
 タンパク質がほしくもある カ

 馳せ参じるべきカ ヒト
 ヒトスジシマカに同情する スジ愛は
 毛頭無し!というカ ヒト

 ヒトスジシマカの針に刺される スジ愛も
 毛頭無し!というカ ヒト

 それなのにカ それ故にカ
 晩秋にひとりぼっちカ ヒト

 ヒトスジシマカと契らぬ カ

 さすればやがての小春日に
 あまたの血兄弟に慕われようものを


〜〜「日本児童文学」2013年11・12月合併号掲載〜〜